ほたて貝は「帆立貝」と書き、殻を帆のように立てて進むと考えられていたためです。実際は殻を開閉させながら殻の隙間から海水を噴射しながら進みます。寒海性で東北から北海道、サハリン近海、オホーツク海などに分布しています。近年では天然ものが減少し養殖ものが多く出回っています。貝柱をゆでて乾燥させたものが、干し貝柱です。干し貝柱は、中国からの輸入ものが多いのですが、北海道や東北地方でも生産しています。中国では「干貝」と呼び、フカヒレ、干しアワビ、干しナマコにならぶ四珍のひとつとして珍重し、高級料理に欠かせないものになっています。

旬は冬から春にかけてで、なかでも10月ごろの3〜4年ものがおいしいといわれています。殻つきのものなら、やや開いているものが新鮮です。殻が閉じているものは死んでおり逆に大きく開いているものは活きが悪いことの現われです。むき身の場合は身に弾力性があり透き通ったもの、貝柱につやがあるものにしましょう。干し貝柱の場合、澄んだべっこう色のものを選びましょう。
ほたて貝は高たんぱく、低カロリーでダイエット食にも最適です。悪性貧血予防に効くビタミンB12や葉酸、目や脳の働きにいいとされているタウリン、味覚障害を予防する亜鉛も豊富に含まれています。健康をキープするための万能食材です。干し貝柱は生のものより、たんぱく質、カリウム、リン、亜鉛の栄養価が増えます。貝柱には視神経の機能を高める働きがあり、徹夜仕事の多い人、一日中電子機器を使う人、受験生などに最適です。視神経からくるめまい、頭痛、肩こり、精神不安などの症状を改善します。
調理は煮物などよりも、刺身や貝焼き、ソテーなどシンプルなほうが旨み成分をじょうずに活かすことができます。冷凍貝柱を解凍するときは、貝柱を脱水シートに包み、そのまま室温においてゆっくり解凍します。余分な水分が吸収されて、おいしく解凍できます。水煮缶詰には、ひもをつけたものと、貝柱だけのものがあります。保存がききサラダや炒め物など幅広く活用できます。汁には、ほたて貝の旨みが出ているので、捨てずに利用しましょう。 ほたて貝独特の旨みはグルタミン酸、イノシン酸などで、生食でも十分おいしいのですが干し貝柱にした方が旨みが上がります。干し貝柱を調理するときは、一度熱湯に入れたまま一晩おきます。もどし汁は、だしがよく出ているので捨てずにスープなどにして使いましょう。